濁った水晶体を取り除くと同時に透明な眼内レンズを移植する手術です。超音波乳化吸引法による小切開手術が始まってから20年以上経過し、器械が代替わりするたびに安全性はより一層向上しつつあります。手術時間も短くなり、患者さんの肉体的、精神的苦痛は少なくなっています。
白内障は眼の中の水晶体という部分が濁って、視力が低下する病気です。水晶体とは瞳の奥にある透明な円盤状の器官で、眼をカメラに例えると、レンズと同じ役割をしている部分です。白内障手術では、この濁った水晶体の中身だけを超音波で砕いて吸い出し、残った膜の中に水晶体の代わりとなる眼内レンズを挿入します。
人間など動物の多くは水晶体の厚みを変化させ、屈折力を変化させることでピント合わせをしています。この作用を「調節」と呼びます。遠くから手元の20cmまでピント合わせをするには5D(ディオプター)の調節力が必要で、若い人の水晶体は10D以上の調節力があります。ところが、調節力は年齢とともに低下し、50才を過ぎると2D以下になってしまいます(図1)。これが老眼です。もともと遠くが良く見えている人では近くが見にくくなり、近く用のメガネが必要となってきます。もともと近視の人ではメガネをはずすと近くにピントが合いますが、メガネやコンタクトをつけたままでは近くが見えにくくなります。コンタクトレンズを装用してさらに近く用のメガネを使用することもあります。一般の白内障手術で使用する眼内レンズは単一の屈折力を持ったレンズですので、術後は調節力が失われ老眼となります。遠用、近用、またはその両方のメガネが必要です。
白内障手術ではレンズの選択と同時に、どのような度数のレンズを使用するかがとても大切です。適切な度数のレンズを使用することにより、もともとあった目の屈折異常を改善させることができます。つまり、近視や遠視を治すことができます。しかし、通常の眼内レンズではピントの合う範囲が狭いことを常に考えておかなければなりません。
基本的には白内障手術のあとは日常生活にメガネが必要と考えてください。眼内レンズによりピントの合う位置を遠くへ合わせた方はメガネなしで遠くが見やすくなり、ピントの合う位置を近くへ合わせた方はメガネなしで近くが見やすくなります。手術により屈折が変化すると、メガネの使い方や裸眼での生活が術前とは変わってしまい混乱することがあります。そのため、一般的には元々近視の方は近くにピントが合うように(近視を残す)、元々遠視の方は遠くにピントが合うように眼内レンズの度数を選びます。
初診 |
初診受付は月曜~金曜日9時~11時30分、13時30分~16時(詳しくは診療案内へ)となっております。手術前に執刀医の診察をお受けいただきますので、できるだけ午前中にお越し下さい。瞳を開いて(散瞳)診察を行いますので、お車・バイク・自転車を運転されての来院はお控え下さい。 診察にて白内障手術適応と診断された方は、手術日を決定していただき、手術前検査日・手術前診察日等のご予約をお取りします。手術に必要な採血検査も行います。他の病院で内服薬を処方されている方は、薬剤名をお知らせ下さい。 手術までの待機期間は約1~2ヶ月となっておりますが、症状によっては前倒しを検討いたします。当院では、手術患者様に関する診察は主治医制を採っております。術前・術後の診察は同じ医師が行い、一人の患者様を責任を持って診察致しております。 |
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手術前検査 |
通常の検査に加え、角膜内皮細胞・前房フレアー値・角膜形状解析・眼軸長など。お昼からの予約の検査となります。予約は手術申し込み時にお取り致します。 |
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手術前診察 |
手術の1~2週間前に手術前診察にお越しいただきます。最終的な診察や、手術前点眼薬の説明、手術日のスケジュールや来院時間などもお伝え致します。 |
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手術当日 |
来院予定時間までにお越し下さい。 ![]() ![]() |
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手術翌日 |
翌日は必ず診察へお越し下さい。 |
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術後検診 |
白内障手術後の診察のスケジュールは、術翌日、1週間後、2週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、半年後、一年後となっております。それ以降につきましては患者様の状態により異なり、もともと緑内障や糖尿病網膜症など他に疾患のある患者様は定期的な受診が必要となります。なお、手術後はおよそ1ヶ月間点眼していただきますので、点眼がなくなる前に診察をお受け下さい。 |
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医療費が高額になった場合、一定の自己負担限度額を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。年齢や所得に応じて、ご本人が支払う医療費の上限が定められており、またいくつかの条件を満たすことにより、さらに負担を軽減する仕組みも設けられています。
所得・年齢ごとの自己負担限度額及び申請方法など詳細については、市区町村の役所の窓口でお尋ねになるか、厚生労働省のホームページ高額療養費制度を利用される皆さまへのPDFファイルをご覧ください。