老眼手術とは ・老眼とは ・多焦点レンズによる老眼手術 ・他の治療との比較

老眼とは

図1人間など動物の多くは水晶体の厚みを変化させ、屈折力を変化させることでピント合わせをしています。この作用を「調節」と呼びます。遠くから手元の20cmまでピント合わせをするには5D(ディオプター)の調節力が必要で、若い人の水晶体は10D以上の調節力があります。ところが、調節力は年齢とともに低下し、50才を過ぎると2D以下になってしまいます(図1)。これが老眼です。もともと遠くが良く見えている人では近くが見にくくなり、近く用のメガネが必要となってきます。もともと近視の人ではメガネをはずすと近くにピントが合いますが、メガネやコンタクトをつけたままでは近くが見えにくくなります。コンタクトレンズを装用してさらに近く用のメガネを使用することもあります。一般の白内障手術で使用する眼内レンズは単一の屈折力を持ったレンズですので、術後は調節力が失われ老眼となります。遠用、近用、またはその両方のメガネが必要です。


多焦点眼内レンズによる老眼手術

最近開発された多焦点眼内レンズは、通常の単焦点眼内レンズと異なり、遠くにピントの合うレンズと近くにピントの合うレンズを組み合わせたレンズです。

このレンズは、若年者のように遠くから近くまで連続的にピントの位置を変化させるような調節力を回復させるレンズではありません。遠くから近くまでどこでもよく見えるような老眼そのものを治すレンズではなく、遠方と近方が見える遠近両用眼鏡の様な2焦点レンズです。そのため、自然の調節作用とは異なり不自然さを感じることもありますが、ほとんどの方は数か月でこの見え方に慣れていきます。

また、複数の焦点を組み合わせたレンズですので、光を分散させる関係上、光の周囲がぼやけたり照明がまぶしくなったりすること(グレア・ハロー)があります。(図1)
日常生活ではほぼ7割方眼鏡を使わずに過ごせますが、長時間の同一作業には眼鏡を使用した方がよいこともあります。

多焦点眼内レンズを用いた老眼手術は、通常の白内障手術と同じです。水晶体の中身を超音波で吸い出して、中に多焦点眼内レンズを挿入します。所用時間なども全く一緒です。ただし、術後にメガネなしで見えるためには、眼内レンズの度数がきちんと合っていること、角膜乱視が少ないことなどの条件が必要です。術後に屈折誤差が生じて裸眼視力が不良の場合、LASIKで屈折の調整を行います。

(図1)グレア・ハロー

多焦点眼内レンズ比較

アルコン社のリストア(ReSTOR)や、AMO社のテクニスマルチフォーカル(TECNIS Multifocal)のように回折効果を利用したものを回折型、AMO社のリズーム(ReZoom)のように、複数の単焦点レンズを組み合わせたものを屈折型の多焦点レンズと言います。

坪井眼科では、お一人お一人のライフスタイルに合わせた眼内レンズをご提供致します。

TECNIS Multifocal (回折型) AMO

TECNIS Multifocalは、後面が回折機構、前面が非球面となっているアクリルレンズです。TECNIS Multifocalは全面が回折機構で、光配分量が遠近折半となるので、瞳孔の大きさで見え方が左右されることはありません。像の歪みなどを補正するデザインで、近く用のレンズの加入度数は(遠方レンズとの差)+4Dです。中心固定が安定しやすく、光の乱反射により眩しく見えないようにエッジデザインされたワンピースタイプのレンズが発売されました。

Abbott (AMO) 

ReSTOR(回折型) アルコン

ReSTORは、レンズ中央の直径3.6mmが回折効果を利用した遠近レンズで、その周辺が遠用の単焦点レンズになっているアクリル非球面着色レンズです。(図3) 周辺の非球面屈折領域と、中央のアポダイズ回折領域により、見え方が瞳孔の大きさに依存しにくくなっています。近用レンズの加入度数(遠用レンズとの差)は、+4D【近用眼鏡+3.2D相当】と+3D【近用眼鏡+2.5D相当】があり、お一人お一人の、ライフスタイルに合わせた選択ができるようになっています。

単焦点レンズと多焦点レンズ(ReSTOR)の比較写真

ReSTOR(アルコン)

ReZoom(屈折型) AMO

ReZoomは図2のように5層の構造となっており、中心から外へ遠、近、遠、近、遠の5種類の度数が入っているアクリル球面レンズです。近く用レンズの加入度数(遠用レンズとの差)は+3.5Dあり、このレンズを使用して白内障手術を行うと、遠くのみならず、中間や近くも見えるようになります。しかし、昼間の外出時不自然さはありませんが、明るいところで瞳孔が3mm以下と小さくなったとき、近くにピントが合いにくくなります。

単焦点レンズと多焦点レンズ(ReZoom)の比較写真

Abbott (AMO)

他の老眼手術との比較

同じような眼内レンズによる老眼手術として、「調節性眼内レンズ」があります。こちらは調節力を持たせるべく眼内で動きやすくした眼内レンズで、多数報告されていますが、自然の水晶体に匹敵するものはありません。また、術後経過とともに水晶体の袋が硬くなり、調節力を失います。実用化はまだまだといった印象です。

眼内レンズと同じような多焦点レンズを角膜で形成するのが老視LASIKです。内容的には多焦点眼内レンズと同じですが、レンズの精度が良くないこと、したがって近用の加入が少ないこと(1-2D程度)などが問題です。また、残した水晶体が今後の遠視化の原因となりますので、効果が長続きしないのも問題です。

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